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おひとりさま検査技師のひとりごと
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2026年7月

健康・検査のこと

大腸がん、ポリープのうちに|便潜血と大腸カメラの話。私もまだ、行けていないけれど

大腸がんの手術を受けたことを公表された方の、大きなニュースがありました。回復を、心から願っています。

そして、書こう書こうと思いながら書けていなかった話を、今日こそ書くことにしました。検査室で働いてきた私が、いちばん伝えたい検査のひとつの話です。最後に、耳の痛い打ち明け話もします。

大腸の中の小さなポリープを虫めがねで見つけるイラスト。小さな芽のうちに摘める
先に、結論から。
・大腸がんの多くは、ポリープが長い時間をかけて変化してできるとされています。つまり、ポリープのうちに見つけて切除できれば、がんになる前に手を打てる可能性があるのです。
・その入り口が、健診の便潜血検査(国の指針では40歳以上・年1回)。
陽性が出たら、必ず大腸カメラへ。「痔のせい」と自分で決めて放置するのが、いちばん危ない流れです。

検査室から見てきた、「もっと早ければ」

大腸がんは、決してめずらしいがんではありません。そして50代は、確実に増えてくる年代です。

病院で長く働いてきて、いちばん強く思うことのひとつが、これです。

ポリープの段階で切除できていれば。

大腸がんの多くは、ある日突然できるのではなく、ポリープ(腺腫)が何年もかけて、少しずつがんに変わっていくとされています。逆に言えば、この「何年も」の間に見つけて、内視鏡でポリープを取ってしまえれば、がんになる前に済むかもしれない。

がんには、防ぎようのないものもたくさんあります。そのなかで大腸がんは、「途中で摘める」道すじが用意されている、数少ないがんなんです。だからこそ、検査室の人間は、この検査の話になると熱くなります。

便潜血検査は、「うんちの検査」ではなく「血の検査」です

健診のたびに、あの小さな容器と向き合っていると思います。便潜血検査は、便そのものを調べているのではなく、便にまじった、目に見えないごく微量の血液を調べています。大腸にがんやポリープがあると、便が通るときにこすれて、わずかに出血することがあるからです。

💡 検査技師の豆知識
いまの便潜血検査(免疫法)は、ヒトの血液のヘモグロビンだけに反応するように作られています。だから、前の日にお肉やレバーを食べても大丈夫。食事制限なしで受けられるのは、このしくみのおかげです。検査室では、この小さな容器の一本一本を、機械と人の目で確かめています。

そして、結果の受け取り方が2つとも大事です。

  • 陽性だったら……あわてなくて大丈夫。陽性の方の多くは、調べてみるとがんではありません。でも、「痔のせいだろう」と自分で決めて放置しないでください。陽性の意味は「大腸カメラで確かめましょう」であって、それ以上でも以下でもありません。
  • 陰性だったら……ひと安心。ただし、出血していないポリープやがんは拾えないので、陰性=大腸に何もない、ではありません。だから毎年受けるのですし、血便・便が細くなる・貧血・体重減少といった症状があるときは、検診を待たずに受診してください。

大腸カメラは、思っているより「今の検査」です

「大腸カメラだけは、ちょっと……」という気持ち、よくわかります。恥ずかしい。つらそう。その印象で止まっている方が、本当に多い。

でも、今の大腸カメラは、だいぶ変わりました。鎮静剤を使って、眠っているような状態のうちに終わる施設が多くなっています。検査着は お尻の部分だけが開く専用のもので、タオルもかけてもらえます。見られる恥ずかしさへの配慮は、現場はちゃんと考えています。

そして——検査を受けた方が口をそろえて言うのは、「カメラより、前の日からの下剤のほうが大変だった」です。正直なところ、そこは頑張りどころです。でも裏を返せば、いちばんの山は検査そのものではなく、準備なんです。

それでもし、ポリープが見つかれば、その場で切除できることもあります。検査と予防が、一度に済んでしまう。こんな検査は、なかなかありません。

打ち明けます

ここまで書いておいて、打ち明けます。

私自身、便潜血は毎年陰性です。でも、大腸カメラは、まだ受けたことがありません

50歳を過ぎたら一度は、と人には言える。恥ずかしいと言っていられない、とも書いた。なのに自分は、「陰性だし」「忙しいし」を言い訳に、先延ばしにしてきました。検査を勧める側の、お恥ずかしい実態です。

ちなみに、職場の同じ世代は、みんなもう受けています。体の中を知っている人間ほど、この検査を受けるのです。取り残されているのは、私だけかもしれません。

今回のニュースで、決めました。私も、大腸カメラを予約します。 受けたら、下剤のリアルも、鎮静剤の感じも、恥ずかしさが実際どうだったかも、全部この場所で報告します。「行けていない側」から「行った側」へ、この記事の続きを書かせてください。

⚠ 受診のめやす
● 便潜血が陽性だった → 症状がなくても、必ず大腸カメラ(精密検査)へ
血便が出る・便が細くなった・貧血を指摘された・体重が減ってきた → 検診を待たず、消化器の病院へ
● 40歳を過ぎたら、年1回の便潜血検査を。50代は、大腸カメラを一度検討する価値のある年代です

健診の結果の紙で、便潜血がどの欄にあるかは健診結果の紙、上から順に全部説明しますにまとめています。貧血の背景に消化管からの出血が隠れていることがある話は貧血の記事に、腫瘍マーカー(CEAなど)が「がん発見の検査」ではない話は腫瘍マーカーの記事に書きました。

小さな芽のうちに、摘めるがんです。あの小さな容器を、今年も、どうか出してください。

そして私は、これから予約の電話をかけます。

※この記事は一般的な情報をまとめたものです。診断・治療、検査の適応は医療機関でご相談ください。

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