2026年6月
家計・節約のこと浴槽、大きすぎ問題。リクシルの布のお風呂「バストープ」が気になる|50代おひとりさまのリフォーム考
先日、冬でも10分シャワーで凍えてた私が、湯船に戻った話を書きました。震えながら数十円を惜しむのはやめて、ちゃんと湯船に浸かることにした——というところまでは、よかったんです。
でも、湯船に戻ってあらためて思いました。
うちの浴槽、大きすぎる。
家族用の浴槽に、ひとりぶんのお湯
我が家は地方の一軒家。浴槽は、子どもたちがいた頃に合わせて選んだ、家族用の大きいやつです。
どれくらい大きいか、言葉だけだと伝わらない気がしたので、うちの50センチのクマに入ってもらいました。
50センチのクマが、この余りよう。ここに毎回200L弱のお湯をためています。
娘たちが巣立った今、あの大きな浴槽に毎回200リットル近いお湯をためて、入るのは私ひとり。お湯はもったいないし、掃除する面積は広いし、冬はなかなか温まらない。ケチ根性が抜けない私には、「ひとりに対して、いちいち大ごと」なお風呂なんです。
そして築年数を考えると、そろそろ水回りのリフォームを考える時期。お風呂を替えるなら、次は「家族用」じゃなくて「これからの私用」にしたい。そう思って調べ始めたら、気になる商品に出会ってしまいました。
その前に。職業柄、見てきた「お風呂とトシ」の話
商品の話の前に、ひとつ書かせてください。
私は小さな病院で検査技師をしています。高齢の患者さんとお話しする機会が多いのですが、「お風呂は週に2回、デイサービスで入ってるの」という方が、めずらしくないんです。
家にお風呂はある。でも、深い浴槽をまたげない。滑るのが怖い。ひとりで入って、何かあったら誰も気づいてくれない——。だから自宅のお風呂は物置のようになって、入浴は介護サービスで、という方を、何人も見てきました。
実際、数字もはっきりしています。消費者庁の推計では、入浴中の事故で亡くなる方は年間約1万9000人。高齢者が浴槽で溺れて亡くなる数は、交通事故で亡くなる数より、ずっと多いんです。寒い脱衣所と熱いお湯の温度差で血圧が乱高下する、いわゆるヒートショックも冬の浴室の定番のリスクです。
おひとりさまの私にとって、これは他人事ではありません。家族と住んでいれば「お風呂で倒れても気づいてもらえる」けれど、ひとり暮らしにはそれがない。大きくて深い浴槽は、いつか「危ないもの」「使えないもの」になるかもしれない——仕事でそういう未来を毎週のように見ているから、リフォームを考えるとき、どうしてもそこから考えてしまうんです。
リクシルの「バストープ」という発想
そんな目で調べていて出会ったのが、リクシルの「bathtope(バストープ)」です。2024年11月に発売された、わりと新しい商品。
ひとことで言うと、「布製の、たためる浴槽」です。
- 浴槽が、柔らかい繊維と防水フィルムの二重構造でできた「一枚の布」
- お湯をためると縁のロープが張って、ちゃんと浴槽の形になる
- 使わないときは、たたんでしまえる。そうすると浴室はまるごと広いシャワー空間になる
つまり、「浴槽に浸かる日」と「シャワーだけの日」で、浴室の形そのものを切り替えられるんです。コンセプトは「お風呂はもっと、自由でいい。」だそうで、上手いこと言うなあと思いました。
数字で見ると、こんな感じです。
| バストープのポイント | |
|---|---|
| 浴槽の長さ | コンパクトな浴室(1216サイズ)でも、長辺を使って1600mm。足を伸ばして入れる |
| お湯の量 | 布が体にフィットするので約140L。同サイズの普通の浴槽(約190L)より約26%の節水 |
| 参考価格 | シンプルなEタイプで55万円〜、スタンダードなSタイプで85万円〜(税抜・工事費別) |
※2024年11月の発売時の情報です。価格や仕様は変わることがあるので、最新は公式サイトでご確認ください。私はリクシルさんとは何の関係もなく、ただ勝手に気になっているだけです(本記事に広告は入っていません)。
「現代にかなってる」と思った3つの理由
調べながら、これは今の時代——というか、これからの私みたいな人間のための商品だなあと思いました。理由は3つあります。
ひとつめは、「シャワーの日」が標準になっていること。
前の記事で白状したとおり、私は長年のシャワー派。湯船に戻った今も、毎日ためるわけではありません。普通の浴室は「浴槽が主役で、シャワーがおまけ」の設計だけれど、バストープは逆で、「ふだんは広いシャワー空間、浸かりたい日だけ浴槽を出す」。実際の暮らしの順番に、設計のほうが合わせてくれた感じがします。
ふたつめは、ひとり暮らしの「もったいない」に効くこと。
お湯が約140Lで済むのは、200L級の浴槽を持て余している身からすると、それだけで心が軽い。大きな固定の浴槽は、使わない日も浴室の真ん中にでんと鎮座して、掃除だけは毎回求めてくる。「使う日だけ存在するお風呂」って、おひとりさまの合理性そのものだと思うんです。
みっつめは、「布」という素材の安心感。
これは私の想像も入りますが——硬いFRPの浴槽は、転んだときも、浴槽の中で意識を失ったときも、容赦がありません。柔らかい布の浴槽で、お湯も浅め。仕事でお風呂をあきらめた方たちを見てきた目には、この「硬くない・深くない」は、けっこう本質的なことに思えます。深い浴槽がまたげなくなる日は、誰にでも来るので。
とはいえ、正直な懸念も書いておく
ときめいてばかりでもいけないので、検査技師らしく疑り深い部分も。
- 布の耐久性はどうなんだろう。 何年もつのか、交換にいくらかかるのか。FRP浴槽の「何十年もつ」とは、たぶん別の付き合い方になるはず。
- 乾かす手間とカビ問題。 布は乾かしてこそ。たたむ前にちゃんと乾かす習慣が要るなら、ズボラな日の私に務まるのか。
- 本当に要介護になったら。 「またぎやすい」と「介助して入れる」は別の話。その段階になったら、結局デイサービスのお風呂のほうが安全で確実、という現実も仕事で知っています。バストープは「元気な高齢期を延ばす」道具であって、「最期まで使える」道具ではないかもしれない。
- 55万円〜は、安くはない。 数十円のお湯代に震えていた人間が、いきなり数十万円の話をしているおかしさは、自分でも分かっています(笑)。ただ、リフォームはどうせいつかやる工事。同じやるなら「これからの体」に合わせたい、という順番の話です。
終の住処のお風呂は、元気なうちに考える
リフォームの話って、つい「まだ早い」と先送りしたくなります。でも、職業柄こう思うんです。お風呂のことは、お風呂に困ってから考えたのでは遅い。深い浴槽がつらくなってから工事を考えるのと、元気なうちに「危なくないお風呂」にしておくのとでは、その後の暮らしがまるで違います。
まだ妄想の段階です。布のお風呂が本当に私の暮らしに合うのか、まずはショールームで実物を見て、できれば触って確かめてきたい。行ってきたら、またここで報告しますね。
家族のためだった大きな浴槽から、これからの自分のための小さなお風呂へ。リフォームも、ちゃんと「おひとりさま仕様」に育てていこうと思います。
参考:LIXIL ニュースリリース「たためる布製浴槽を備えた浴室『bathtope』を11月26日より販売開始」(2024年11月)/消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」