2026年6月
家計・節約のこと「株が下がってるの!」を思い出して口座を見たら、真っ赤だった|今度は私の心臓がバクバク
先日、86歳・現役トレーダーの患者さんの話を書きました。検査中に証券会社から電話がかかってきて、「株が下がってるの!」と心臓をバクバクさせていた、あのお元気な方です。
あのときの私は、「検査中ですので」も言えずにオロオロしつつ、心のどこかで思っていました。株価くらいで、そんなに慌てなくても——と。
その私が先日、見事に同じ目にあいました。
ニュースで「株安」、よみがえるあの声
その日は、ニュースでも株価の下落が話題になっていました。
ふだんの私なら「ふーん、下がってるのね」で通り過ぎます。私の投資は老後に向けたほったらかしの長期積立で、毎日の上げ下げに一喜一憂しない——というのが建前。実際、証券口座なんて何か月も開いていませんでした。
でもその日は、あの患者さんの「株が下がってるの!」が、耳の奥でよみがえってしまったんです。
あの方、今ごろまた電話してるのかしら。うちのはどうなってるのかしら。ちょっとだけ。ちょっとだけ見てみようかな——。
寝る前に、ふとんの中で、スマホの証券アプリをそっと開きました。
画面が、真っ赤だった
開いた瞬間、目に飛び込んできたのは、見事なまでの赤一色。
私は仕事柄、数字を毎日見ています。検査データの異常値には慣れっこです。でも、自分のお金の異常値は、まったく別物でした。
具体的な金額は書けませんが(恥ずかしいのと、身バレ防止です)、びっくりするくらい下がっていました。なかでもショックだったのが金(ゴールド)。「迷ったら金。金は裏切らない」みたいな顔をして、ずっと優等生だったのに、その金まで赤いんです。おまえもか、と思いました。
個別株にいたっては、コツコツ育っていたはずの利益が、見事に消えているものがいくつも。何年ぶんかのプラスが、画面の上からすっと消えていました。
今度は、私の心臓がバクバク
そこからです。胸のあたりがドキドキして、目が冴えて、眠れない。
「これ、血圧上がってるんじゃないの」と思いながら、ふとんの中でスマホを握りしめている50代。——どこかで見た光景だな、と思ったら、あの検査台の上の患者さんと同じでした。
あのとき彼女は言いました。「もう血圧上がっちゃって、心臓バクバク。これ、検査の結果に影響するわよね?」
私は心の中で「それは株のせいです」とツッコんだわけですが、いざ自分の番になってみると、よく分かります。株価は、確かに血圧を上げる。 86歳で毎日これをやっているあの方は、心臓が強いのか、もはや鍛えられているのか。どちらにしても、やっぱりただ者ではありませんでした。
見なければよかった。いや、見なくてよかったのだ
ひと晩たって、冷静になって思いました。
見なければよかった。
だって、私の投資は老後のための長期積立です。使うのは何年も先。今日の赤字は、売らない限りただの「画面の色」で、確定した損ではありません。むしろ積立を続けている身からすれば、安く買える期間でもあるはず——と、頭では分かっているんです。
分かっているのに、見たら最後、心臓がバクバクして眠れなくなる。つまり私にとって株価のチェックは、何の得もないのに血圧だけ上げる行為だったわけです。健康にこれほど悪い無料アプリも、なかなかありません。
86歳の彼女は、毎日見て、毎日電話して、それでもお元気です。あれはあの方の生きがいで、社会とのつながりで、たぶん脳トレでもある。あの歳であの瞬発力は、株のおかげかもしれないとさえ思います。
でも私には無理。私の心臓は、検査室で患者さんの心電図を見ているくらいがちょうどいい。
ほったらかしの長期投資に限る
ということで、結論です。
私のような小心者は、ほったらかしの長期投資に限る。
- 積立の設定だけして、口座は見ない
- ニュースで「株安」と聞いても、見ない
- 患者さんの「株が下がってるの!」を聞いても、見ない(これが一番むずかしい)
下がった日に見ても、できることは何もありません。狼狽して売れば損が確定するだけ。それなら最初から見ないで、お金には黙って働いてもらって、私は私で湯船に浸かって寝るのがいちばんです。
幸い、ひと晩ドキドキしただけで、私は何も売りませんでした。積立もそのまま続けます。何年か先にこの記事を読み返して、「あんなに赤かったのにね」と笑えていますように。
それにしても、86歳現役トレーダーの続編が、まさか自分の話になるとは思いませんでした。患者さん、お元気かしら。今度いらしたら、株の話はそっとしておこうと思います。お互いの血圧のために。
※この記事は私の個人的な体験談で、特定の投資をすすめるものではありません。投資はご自身の判断で。