2026年6月
家計・節約のこといらない田畑や山林、どうする?|実家じまいの“出口”と相続土地国庫帰属制度
前回の実務編で、認知症になる前の備えと、相続のことを書いた。その最後に、「田畑や山林、空き家をどうするかは、別の記事で掘り下げたい」と書いた。今回は、その続きである。
重いテーマだし、私もまだ、答えは出ていない。でも、調べてみてわかったことを、同じように悩む人のために、整理しておきたい。
※私は法律や不動産の専門家ではない。具体的な手続きは、必ず司法書士・行政書士や、自治体の窓口に相談してほしい。ここに書くのは、あくまで「まず知っておいてよかった」と思ったことの整理である。
▲ あの家も、田畑も、山も。さて、どうしよう。
空き家は、放っておくと“負債”になる
実家じまいで、いちばん頭が痛いのが、空き家だ。
住む人がいなくなった家は、放っておくと、どんどん傷んでいく。それだけではない。管理されず危険な状態になると「特定空家」などに指定され、固定資産税の優遇が外れて税が跳ね上がったり、行政の指導を受けたり、最悪の場合は行政の手で解体され、その費用を請求されることもあるという。
出口の選択肢は、ざっくり言えば——売る/貸す/解体して更地にする/当面は管理しながら持つ。どれも一長一短で、立地や状態によって、正解が変わってくる。
田畑(農地)は、簡単には手放せない
意外と知られていないのが、農地の難しさだ。
農地は「農地法」で守られていて、宅地のように自由には売買できない。売るにも貸すにも、農業委員会の許可が必要なことが多い。相続はできても、自分で耕すわけにもいかず、扱いに困る——これは、田舎の実家じまいで、本当によく聞く悩みである。
山林も、悩ましい
山林も、頭の痛い存在だ。資産価値が低く、買い手がなかなかつかない。それでいて、所有している限り、管理の責任は残り続ける。
いらない土地を、国に引き取ってもらう制度
そんな「手放したいのに、手放せない土地」のために、2023年4月から始まったのが「相続土地国庫帰属制度」だ。
相続した土地を、国に引き取ってもらえる、という制度。ただし、条件はなかなか厳しい。
- 建物が建っていない(更地である)こと、担保や境界の争いがないこと、などの条件がある
- 引き取ってもらうには、負担金(その土地の管理費の目安として、原則20万円ほど〜。種類や面積で変わる)を納める必要がある
使えるかどうかは土地によるので、まずは法務局に相談するのが第一歩。万能ではないけれど、「こういう選択肢もある」と知っておくだけで、少し気がラクになる。
相続登記は、もう“義務”
あわせて、忘れてはいけないことがある。2024年4月から、相続登記が義務化された。相続を知ってから3年以内に登記をしないと、過料(罰金のようなもの)の対象になることがある。「名義が、亡き父のまま」という田舎の実家は、とくに要注意だ。
(ちなみに我が家の場合、実家は母の名義になっているので、そこは問題なかった。でも、こういう確認こそ、元気なうちに済ませておくと安心だ。)
それでも、あの松のことを思う
制度や手続きの話ばかり書いてきたけれど。
実家の庭には、父が大事に育てた松がある。「土地」「資産」と、すっぱり割り切れない気持ちが、どうしても残る。
私はこのブログで、お墓も、大きな家も、残さなくていいと書いてきた。持たない、残さない。そういう生き方を選んだつもりだ。実家じまいは、その“ひとつ上の世代版”なのだと思う。親が遺したものを、どう手放していくか。重くて、寂しい。でも、目をそらしていると、いちばん困るのは、結局、自分自身だ。
だから、元気なうちに、家族で少しずつ話しておきたい。「この家、これからどうしようか」と。
我が家の、今できた一歩
偉そうに書いてきたけれど、私自身も、まだ途中だ。
ひとつだけ進んだのは、義実家の空き家のこと。ようやく、司法書士さんに依頼することができた。これが、今のところの「進展」だ。売れるかどうかは、これから。何も決まってはいないけれど、専門家に間に入ってもらえただけで、ずいぶん気が軽くなった。
そして、動いてみて、ひとつわかったことがある。自治体の無料相談は、その地に住民票がある人向けだ、ということ。遠くにある実家の自治体に相談したくても、そこに住民票がなければ、無料相談は受けられないことが多い。その場合は、有料の相談になる。実家が遠い人ほど、ここは先に知っておいたほうがいい。
相談できる窓口
- 空き家のこと:自治体の空き家相談窓口、空き家バンク
- 農地のこと:農業委員会
- 登記・国庫帰属制度:司法書士、法務局
- 全体の段取り:司法書士・行政書士
※自治体の無料相談は、その地に住民票がある人向けのことが多いです(遠方の実家の場合は、有料相談になることも)。
前回(実務編)→ 親が認知症になる前に|実家じまい・相続の準備
我が家にも空き家が → 義実家の空き家がやってきた