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おひとりさま検査技師のひとりごと
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2026年7月

健康・検査のこと

エコー検査で、なぜグッと押されるの?|「痛いのに」の理由を検査技師がお答えします

先に、結論から。
・お腹のエコーでグッと押すのは、①腸のガス(空気)をよける ②見たい臓器に近づく ③まっすぐ音を当てる——この3つのためです。意地悪ではありません。
・超音波は「音」を使う検査で、放射線を使いません=被曝の心配がない。だから、最初に選ばれる検査(ファーストチョイス)になれます。
・押されて痛いときは、我慢せず「痛いです」と伝えてください。力加減を調整できます。

お腹のエコー検査で、プローブ(探触子)でぐっと押されて、「あいたた……」と思ったこと、ありませんか。

「なんでこんなに押すんだろう」「意地悪してる?」——いえいえ、とんでもない。あれには、ちゃんと理由があるんです。今日は、エコーを長年担当してきた検査技師として、その裏側をお話しします。

プローブから音の波が体内へ届き、モニターにリアルタイムで臓器が映るエコー検査のしくみのイラスト

▲ グッと押すのは、ガスをよけ・臓器に近づき・まっすぐ音を当てるため。

そもそも、エコーは何を使っているの?

意外に思われるかもしれませんが、超音波検査(エコー)は、「音」を使う検査です。人の耳には聞こえない高い音(超音波)を体に当てて、はね返ってくる音を画像にしています。魚群探知機や、コウモリが暗闇で物にぶつからないのと、同じ仕組みですね。

ここが、エコーの大きな長所につながります。放射線を使わないので、被曝の心配がありません。

レントゲンやCTは放射線を使いますし、造影剤を使うCTやMRIは、腎臓の働きに影響することがあるので注意が必要な場面もあります。その点、エコーは体にやさしい。だから、「まず最初に受ける検査(ファーストチョイス)」として、とてもよく使われるのです。体を傷つけず(非侵襲的)、その場ですぐに、たくさんの臓器を確認できる——これが、エコーの心強いところです。

なぜ、あんなにグッと押すの?

さて、本題の「押す理由」です。大きく3つあります。

① 腸のガス(空気)をよけるため 超音波は、空気があると、そこではね返ってしまって奥まで届きません。お腹の中には腸があり、ガス(空気)がたまっています。このガスが、ちょうど見たい臓器の手前にあると、奥が見えなくなってしまう。だから、プローブでぐっと押して、じゃまなガスを脇へよけるのです。

② 見たい臓器に近づくため 体の表面から臓器までには、脂肪や筋肉など、いろいろな層があります。押して距離を縮めると、その分、臓器がくっきり見えやすくなります

③ まっすぐ、狙った角度で音を当てるため 超音波は、当てる角度によって見え方が大きく変わります。見たい断面をきれいに出すために、プローブを押しつけ、角度を細かく調整しているのです。

💡 検査技師の豆知識
検査の前に、お腹にぬるあのゼリーにも意味があります。プローブと肌の間に空気が少しでも入ると、超音波はそこではね返ってしまう。ゼリーは、そのすき間の空気を追い出して、音をしっかり体内へ届けるためのものです。冷たくてびっくりするあのゼリーも、ちゃんと働き者なんです。

押されて痛いとき、我慢しないでください

検査中、私たちが「大きく息を吸って、止めてください」とお願いするのも、実は同じ理由です。息を吸うと臓器の位置が動いて、ガスに隠れていた部分が見えやすくなることがあるからです。呼吸に合わせてもらうと、検査がぐっとスムーズになります。

そして——押して痛いときは、どうか我慢せず「痛いです」と言ってください。 私たちは、見えないと困るのでつい力が入ってしまうことがありますが、患者さんが痛いのは本意ではありません。伝えてもらえれば、力加減を工夫します。検査は、我慢比べではありませんから。

画像を「撮る」だけの仕事ではありません

ここからは、少しだけ検査技師の内側の話を。

エコーは、ただ画像を眺めて、きれいに残せばいい——というものではありません。大事なのは、画像の中に現れる小さな変化に、どこで気づけるか。そして、その所見が何を意味するのかを、頭の中でどう結びつけていくか。この「思考の過程」こそが、検査の質を分けます。

病変を見つけ、きれいな画像として残すのは、いわば当然のこと。そのうえで、「この所見は、この先どんな診断や治療につながるのか」という知識まで持っていないと、本当に必要な一枚は撮れません。

もちろん、検査技師は診断をしてはいけません(診断はお医者さんの仕事です)。でも、ある程度の見立てるスキルがなければ、正しい検査そのものができない。だからこそ、描出(見たいものを画面に出す)の技術は必須で、私たちは患者さんに、呼吸を合わせてもらったり、ときに「痛いかもしれませんが」と押させてもらったりしているのです。すべては、たしかな一枚のために。

私が、超音波と長くつきあってきた理由

最後に、少しだけ個人的な話を。

私が初めて超音波検査に携わったとき——とくに、心臓のエコーでした。リアルタイムに動いている心臓を、その場で画面に描き出せていることに、心から感動したのを、今でも覚えています。

レントゲンもCTも、写すのは「その瞬間の一枚」。でも、超音波は、今まさに動いている命を、そのまま映せる。こんな検査は、ほかにないのではないか——そう思いました。あの感動が入り口になって、私と超音波の、長いつきあいが始まったのです。

だから、私がプローブでぐっと押すとき。その奥には、「たしかな一枚を撮りたい」という気持ちがあります。次にエコーを受けるとき、少しだけ、そんな裏側を思い出してもらえたら、うれしいです。

まとめ

  • エコーは「」の検査。放射線を使わず、被曝の心配がない=最初に選ばれやすい
  • グッと押すのは、①腸のガスをよける ②臓器に近づく ③まっすぐ音を当てるため
  • 痛いときは我慢せず「痛いです」と一言を。呼吸のお願いにも、ちゃんと理由がある
  • 技師は診断こそしないけれど、「気づいて、意味づける」技術で、たしかな一枚を撮っています

同じ「検査室の裏側」として、採血したあの血液は、どこへ行くのかや、健診の前日にやらないことも書いています。あわせてどうぞ。

※この記事は、検査技師としての一般的な知識と経験をまとめたものです。検査の内容や進め方は、施設によって異なることがあります。診断・治療は、必ず医療機関でご相談ください。

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