2026年6月
健康・検査のこと温泉、気持ちいいけれど油断は禁物|検査技師が気をつける“安全な入り方”
温泉が、ずっと大好きでした。サウナで“整う”あの感覚も。日々の疲れがお湯にとけていく時間が、私の、いちばんのごほうびでした。
なのに——最近、少しだけ、こわいと感じることが増えてきたのです。
ひとつは、血圧が、だんだん高くなってきたこと。そして、貧血の傾向もあること。同じ世代の友人たちと話すと、「入浴中に具合が悪くなった」という話も、ちらほら耳に入ってきます。あんなに好きだったサウナでも、最近は、調子が悪くなることが出てきました。
そうなると、検査技師として知っていることが、つい脳裏に浮かんでしまうのです。今日は、私が温泉で気をつけている「安全な入り方」を、自分への戒めも込めて、やさしくまとめてみます。
▲ ぬるめに、短めに、水分をとって。無理は禁物です。
いちばん気をつけたい「ヒートショック」
寒い脱衣所で服を脱ぐと、血管がきゅっと縮んで、血圧が上がります。そのまま熱いお湯にドボンとつかると、今度は血管が広がって、血圧が急降下。この血圧の乱高下が、心臓や血管に、大きな負担をかけます。これが「ヒートショック」です。
冬場や、血圧が高めの方、年齢を重ねた方ほど、注意が必要です。対策は——
- 脱衣所や浴室を、あらかじめ温めておく
- いきなり入らず、手足からかけ湯をして、体を慣らす
- お湯はぬるめに(目安は41℃くらいまで)、長湯はしすぎない
- 湯上がりに、急に立ち上がらない(立ちくらみ防止)
意外と見落とす「脱水」
温泉につかると、思っている以上に、汗をかきます。すると体の水分が減って、血液が濃く(ドロッと)なります。
これは、検査でいう“ヘマトクリット”(血液の濃さ)が上がった状態。血液が濃くなると流れにくくなり、血のかたまり(血栓)もできやすくなります。だから、入浴の前後の水分補給が大事なんです。
入る前にコップ1杯、上がってからもう1杯。これだけで、ずいぶん違います。
血圧と、のぼせ
熱いお湯は、一時的に血圧や心拍を、大きく動かします。高血圧の方や、心臓に不安のある方は、ぬるめ・短め・半身浴くらいが安心です。
のぼせ(頭がぼーっとする、めまい)を感じたら、がまんせず、すぐに上がること。
(血圧のことは、こちらの記事にも詳しく書いています)
サウナの“整う”も、ほどほどに
サウナと水風呂を行き来する「整う」感覚、私も大好きでした。でも、あの急激な温度差は、血圧を大きく上下させます。
血圧が高めの方、貧血ぎみの方は、立ちくらみやのぼせを起こしやすいので、とくに注意。最近の私は、水風呂は控えめにして、休憩を長めに、無理はしないようにしています。「整う」より、まず「ほどほど」。
食後すぐ・お酒のあとは避ける
食事の直後は、消化のために胃腸へ血液が集まっています。そこへ入浴が重なると、体に負担がかかります。お酒のあとも、脱水と血圧変動でリスクが上がるので、少し時間を置いてから、が安心です。
おひとりさまだからこそ、無理をしない
これは、ひとり旅の温泉で、私がいちばん意識していることです。
もし湯船で具合が悪くなっても、ひとりだと、誰にも気づいてもらえません。だから——長湯しない、こまめに上がる、無理をしない。貸切風呂よりも、人の気配がある時間帯の大浴場を選ぶ、というのも、ひとつの安心材料だと思っています。
正直に言うと、こわくなったからといって、温泉をやめたいわけでは、ありません。
地方には、掛け流しで質のいい温泉が、たくさんあります。とくに長野県は、比較的お手頃に入れる日帰り温泉が多くて、私の大きな楽しみのひとつ。あの幸せを、年齢のせいであきらめてしまうのは、やっぱり寂しいのです。
▲ 鵜の浜温泉の外から眺めた夕日。こんな景色も、温泉旅のごほうびです。
だからこそ、ちょっとだけ体を気づかって、上手に、安全に、付き合っていきたい。ぬるめに、短めに、水分をとって、無理をしない。それだけで、これからも長く楽しめるはずですから。
※持病のある方、血圧・心臓に不安のある方は、温泉旅の前に一度、かかりつけの先生に相談しておくと安心です。胸の痛みや、続くめまいなど、気になる症状があるときは、無理せず医療機関へ。
あなたの温泉時間が、安全で、しあわせなものになりますように。
血圧のことは、こちらにも → 50代で血圧が高くなってきた?
旅の前の体の準備 → 旅行前に、検査技師がこっそりやる「体の準備」
温泉旅の記録 → 新潟・上越 日帰り旅(米山登山と鵜の浜温泉)