2026年7月
健康・検査のこと目黒寄生虫館に、ついに行ってきた|検査技師が“サナダムシと真田紐”にゾッとした話
以前、母のおすそ分けで食あたりした記事で、「目黒寄生虫館に行く予定です」と書きました。その約束を、ついに果たしてきました。
日曜日だったからでしょうか。こぢんまりした博物館なのに、意外とお客さんが多くて、びっくり。老若男女、みんな熱心に見入っていました。
▲ 公益財団法人 目黒寄生虫館。入館は無料(募金は大歓迎)です。
学生時代の、実習を思い出す
検査技師を目指していた学生の頃、こんな実習がありました。猫や犬の糞を調べて、寄生虫(虫卵)を探すというもの。
結局、私のサンプルからは見つからなかったのですが……展示されている、瓶いっぱいの回虫を見ると、あらためて「うわ」と声が出ます。かつては人のおなかにも、普通にいた寄生虫です。
▲ 回虫の標本。昔は、これが人の体に。
フィラリアも、よく聞く名前ですよね。犬フィラリアは、今も予防が大切な病気です。でも今は、いいお薬もありますし、散歩のときの糞の持ち帰りも当たり前になりました。そのぶん、昔ほど身近に「見る」ことは、減っているのかもしれません。時代の変化を感じます。
アニサキスの、意外な話
さて、食あたりの記事でも触れたアニサキス。ここで、いくつか「へぇ!」と思うことがありました。
- あの激しい痛みは、実は虫が「噛みつく・刺さる」物理的な痛みというより、アレルギー反応が大きく関わっていると考えられていること
- 養殖の魚は、人工のエサで育てられるので、アニサキスの寄生がまずないこと
- そして、淡水(川や湖)の魚には寄生しないこと
養殖魚が安心なのは、そういう理由だったのか、と納得しました。ちなみに、生きたアニサキスを虫眼鏡でのぞける展示もあって——うにょうにょと、動いていました。あれが、おなかの中で暴れると思うと……ぞわっとします。
そして、8.8mのサナダムシと「真田紐」
いちばん衝撃だったのが、これです。
日本海裂頭条虫、いわゆるサナダムシ。人の体から採取された標本が、な、なんと8.8メートル。展示ケースの端から端まで、うねうねと続いています。これが、人ひとりのおなかの中にいた——想像するだけで、ゾッとしました。
▲ 8.8mのサナダムシ。左には、同じ長さの「真田紐」が。
そして、もうひとつ、私にとって忘れられない発見が。
実は私、着物が好きで、帯や紐に使う「真田紐(さなだひも)」を知っていました。上田(長野)ゆかりの、丈夫で平たい織物の紐です。歴史好きとしては、戦国武将の「真田」にちなんだ名前だと思っていました。
その真田紐が、なんと、この展示のすぐ隣に。説明を読んで、ショックを受けました——平たい紐状の条虫が、真田紐に似ていることから、「さなだむし」と呼ばれるようになったというのです。
(ちなみに、真田紐そのものの名前の由来には、真田氏にちなむ説をはじめ、諸説あるようです。でも「サナダムシ=真田紐に似ているから」は、その通りでした。)
大好きな着物の紐と、体の中の寄生虫が、こんなところでつながっているなんて。知ってしまった今、真田紐を見る目が、少し変わってしまいそうです……。
余談:あのダンゴムシにも
もうひとつ、余談を。庭や公園に、普通にいるダンゴムシ。あの子たちにも、寄生する虫がいるのだそうです。
知らなければ、なんてことのない身近な虫。でも、知ってしまうと、ちょっと怖い。「知らぬが仏」とは、よく言ったものです。
目黒に、こんな場所があるなんて
正直、驚きました。目黒という都会のど真ん中に、これだけの私立博物館があること。しかも、入館は無料です。
でも、無料だからこそ、この貴重な場所が、ずっと続いてほしい。そう思って、帰りに募金箱へ、少しだけ寄付を入れてきました。研究と展示を、静かに支えている方々への、ささやかな応援の気持ちです。
こわいけれど、ふしぎと引き込まれる。検査技師の私にも、そうでない人にも、いろんな発見があると思います。機会があれば、ぜひ一度、足を運んでみてください。
※展示内容は訪問時(2026年7月)のものです。開館日・時間は変わることがあるので、お出かけ前に公式情報をご確認くださいね。