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おひとりさま検査技師のひとりごと
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2026年6月

旅行

松本の隠れ郷土食「うす焼き」を、おひとりさまで。カフェ「豆まめ」は味も人柄も優しかった

松本をあてもなく歩く時間が、けっこう好きです。

目的を決めずにふらふらして、「あ、ここいいな」と思ったお店に、ふらっと入る。50代、おひとりさま。お店を選ぶ基準は、もちろん美味しいことが第一ですが、それと同じくらい大事にしているのが、雰囲気と、お店の方の感じのよさだったりします。

松本・中町通りの白壁の蔵が並ぶ街並み

▲ 蔵造りの街並みが続く、松本・中町通り。歩くだけで楽しい。

今回引き寄せられたのも、軒先のやさしい空気と、なんだか優しそうな店員さんでした。案内されたのは、足踏みミシンを改造したテーブルの席。なぜだか懐かしくて、ふふっと笑みがこぼれます。こういう小さな「いいな」が、もう居心地のよさを約束してくれている気がします。

うす焼きカフェ豆まめの軒先。信州うす焼き LOCAL PANCAKE の看板

▲ 「信州うす焼き」の看板に、ふらりと引き寄せられました。

「うす焼き」って、何?

メニューに「うす焼き 200円」とあります。正直、最初は頭に「?」が浮かびました。聞けば、これは信州松本の、隠れた郷土食なのだそうです。

豆まめのメニュー。うす焼き200円の説明書き

▲ 「無添加でやさしく、どこかなつかしい」——その説明書きにぐっときました。

調べてみると、うす焼きは、お米が貴重だった時代に、小麦粉やそば粉の生地に野菜などの具を混ぜて焼いた、長野県の伝統食。畑仕事の合間に食べる「おこびれ(小昼)」や、子どものおやつとして、昔から親しまれてきたものだそうです。おやきは知っていましたが、うす焼きは、初めまして。

豆まめさんのうす焼きは、数十種類ある具材の中から、日替わりで5〜8種類を、毎日お店で焼いているのだとか。無添加で、素材を生かしたやさしい味。これがもう、私好みです。

うす焼きのセット。野菜スープ、サラダ、きゅうりの漬物つき

▲ セットにすると、野菜スープとサラダ、お漬物も。やさしい一膳です。

おすすめされたのは、大きな花豆に、山椒がピリッと効いた一枚。花豆は標高の高いところでしか穫れないのだと、教えてもらいました。ホクホクしていて、これは美味しい。……正直に言うと、山椒はなくてもよかったかな、というのは、ここだけの話。それくらい、花豆そのものが主役でした。

うす焼きの断面。かぼちゃの具が入っている

▲ 断面はこんな感じ。もちっとした生地に、ごろっとした具。

甘すぎず、しょっぱすぎず。「どこかなつかしい」という説明書きが、そのまま舌にのってくる感じです。素朴って、こういうことなんですね。

奈川(ながわ)って、どこ?

お店の方に話を聞くと、素材は「奈川のものを使っている」とのこと。

……奈川? 恥ずかしながらピンとこなくて、その場で地図を開きました。長野県って、本当に広いです。

奈川は、松本市の南西の山あいにある地区。標高1,200mほどの冷涼な土地で、2005年に松本市に合併したのだそうです。「ながわといえばそば」と言われるほど、質の高いそばの産地で、花豆や赤かぶも特産。さきほどの「花豆は高いところでしか穫れない」が、ここでつながりました。あのホクホクは、この高地が育てた味だったのですね。

豆まめさんも、もともとは奈川(奈川渡ダムの近く)にあったお店だと知って、なるほど、と腑に落ちました。

いちばんのヒットは、きゅうりの漬物

セットにつけた野菜スープもサラダもよかったのですが、私が思わず「これ、美味しい!」と声に出したのは、きゅうりの漬物でした。

酢と麹で漬けたような、さっぱりとした味。ぱりっとした歯ごたえに、後を引かない、軽やかな酸味。派手さはないのに、箸が止まりません。こういう、なんでもないものがやたら美味しいお店は、だいたい間違いないのです。

きゅうりの漬物。ガラスの器に盛られている

▲ この、きゅうりの漬物。なんでもないのに、箸が止まらない。

店選びの基準は「味」と「人柄」

結局のところ、私がリピーターになるお店って、「味」と同じくらい「人柄」で決まっている気がします。

居心地がいいと、また来たくなる。お店の方とぽつぽつ言葉を交わせると、料理の味まで、少しやさしく感じます。今回も、うす焼きのことを聞いたり、漬物が美味しいと伝えたり。そんな他愛もないやりとりをしながら、ほっこりした時間を過ごせました。

味は素材で決まるけれど、もう一度行きたいと思うかどうかは、人柄で決まる。おひとりさまだからこそ、そこは妥協したくないのです。

女鳥羽川の風景。赤い欄干の橋と、川沿いの古い街並み

▲ 帰り道、女鳥羽川の赤い欄干の橋を渡って。

帰り道、女鳥羽川の赤い欄干の橋を渡りながら、お腹も気持ちも、あたたかでした。松本散策の、いい寄り道でした。

かかった費用

うす焼き Aセット(うす焼き+野菜スープ・サラダ・漬物)900円
合計900円

※交通費は除く

お店情報

  • 店名:うす焼きカフェ 豆まめ(まめまめ)
  • 場所:長野県松本市中央3-11-5(中町通りの東側、女鳥羽川の橋のたもと)
  • メニュー:うす焼き 1個200円/あげぱん(ココア・きなこ)300円/Aセット +500円・Bセット +800円
  • 営業時間:9:00〜18:00
  • 定休日:要確認(お店の立て看板は「水曜」、食べログは「火曜・水曜」と表記が分かれていました。お出かけ前に最新情報をご確認ください)

あわせて読みたい → 信州そば食べ比べ|松本こばやし×上田刀屋を日帰りで

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