2026年6月
旅行黒斑山に登ってきた|浅間山を間近に望む、コマクサと初心者の膝が笑った日
※コースタイムや施設情報は2026年6月時点のものです。最新の登山道・気象・火山情報は、必ず公式や現地の表示でご確認ください。
※浅間山は活火山です。後半に注意点をまとめています。
登山初心者の50代が、友人と一緒に黒斑山(くろふやま)へ登ってきました。浅間山を、ほんとうに間近で見られる山——と聞いて、前から気になっていた場所です。
▲ 目の前に、どーんと浅間山。この眺めが見たかった。
黒斑山って、どんな山?
黒斑山は、長野と群馬の県境にある標高2,404メートルの山。あの浅間山(2,568m)を囲む「外輪山(がいりんざん)」のいちばん高いピークです。
浅間山そのものは活火山で、火口の近くまでは登れません。でも、その外側にぐるりと残った外輪山の黒斑山からなら、噴煙を上げる浅間山を、すぐ目の前に安全に眺められる。だから人気なんですね。
スタート地点の車坂峠(くるまざかとうげ/標高約1,973m)には、高峰高原ビジターセンターがあります。すでに標高が高いところから登り始められるので、初心者にもありがたい山です。
朝6時半、登山届を書いてスタート
登ったのは、2025年7月。この日は早朝、朝6時半に登山口へ。入口で登山届にしっかり記入してから歩き出しました。
登山届は、「いつ・どの道を・何人で登るか」を書いておく紙です。もし山で何かあったとき、捜索の大事な手がかりになります。面倒に思えても、自分の身を守るための、いちばん基本の準備。私たちもしっかり装備をそろえて、準備万端で入りました。
車坂峠から黒斑山へは、尾根を歩く「表(おもて)コース」と、樹林帯の「中(なか)コース」があり、行きと帰りで道を変えて周回することもできます。今回は、槍ヶ鞘を通る尾根道で登りました。
高山植物の女王・コマクサに出会う
登る途中、ガレた(小石の多い)斜面に、ぽつぽつとピンクの花が咲いていました。これがコマクサ(駒草)です。
▲ 緑の丸の中に、ピンクのコマクサ。小さくて、見つけるとうれしい。
正直に言うと、私はこのとき登るのに必死で、花を愛でる余裕なんてありませんでした……。でも、一緒に行った友人が、それはもう感動していて。あとから聞いて、納得しました。
コマクサは、「高山植物の女王」と呼ばれる、とても希少な花です。ほかの植物が育たないような、火山の砂れき地にだけ根を張って咲く。しかも、芽を出してから花を咲かせるまでに4〜5年もかかるといわれます。そんな厳しい場所で、何年もかけて、あの小さな花を咲かせている——そう思うと、見る目が変わりますよね。
▲ 厳しい岩場に、けなげに咲くコマクサ。
コマクサは保護されている大切な花。摘んだり、近づいて踏み荒らしたりせず、登山道から遠くにそっと眺めるのがお約束です。写真も、離れたところからそっと。
槍ヶ鞘、トーミの頭、そして山頂へ
おもしろいのは、歩く場所によって、浅間山の見え方がどんどん変わっていくこと。それぞれの絶景ポイントを、順番にご紹介します。
① 槍ヶ鞘(やりがさや)——初めての対面
尾根に出ると、視界がぱっと開けます。ここが、初めて浅間山と正面から対面する場所。それまで樹林の中を歩いてきた目の前に、突然、浅間山の全貌がドーンと現れます(記事のいちばん上の写真がここです)。思わず「わぁ」と声が出る瞬間でした。
② トーミの頭——いちばんの絶景ポイント
▲ トーミの頭。足元がスッと切れ落ちていて、高度感たっぷり。
そして、このコースいちばんの絶景ポイントが、トーミの頭。ここがすごいのは、見る角度です。足元が断崖絶壁になっていて、その崖のへりから、浅間山を見下ろすようなアングルで眺められるんです。高度感がたっぷりで、足がすくむほど。でも、その分いちばん迫力のある浅間山が見られる、特別な場所でした。
③ 黒斑山の山頂——木々の間から、そっと
▲ 黒斑山の山頂。木々の間から、浅間山。
トーミの頭を越えて、いよいよ黒斑山の山頂へ。意外だったのは、山頂からの浅間山は、木々の間からのぞくように望む形だったこと。槍ヶ鞘やトーミの頭のような開けた眺めとは、また違う趣でした。下山まで含めて、お昼前の11時には登山口に戻ってきました。
浅間山の「ガトーショコラ」
黒斑山からの主役は、なんといっても浅間山です。雄大な裾野(すその)と、ぽっかりと広がるカルデラ地形を、目の前に一望できます。
この浅間山の眺めは、「ガトーショコラ」という愛称で呼ばれています。とくに雪の季節、黒い山肌に白い雪の筋が入った姿が、粉砂糖をふったチョコレートケーキみたいに見えるから。なんともかわいい呼び名ですよね。
そう聞くと「じゃあ冬がいちばんなの?」と思うかもしれませんが、夏は夏で、とてもよかったです。私が登ったのは7月。雪化粧の浅間山は見られませんでしたが、そのぶん裾野いっぱいに広がる緑がみずみずしくて、コマクサにも会えました。季節ごとに、ぜんぜん違う表情を見せてくれる——それも、この山の魅力なのだと思います。
ひとつ正直な感想を。黒斑山は、ここからさらに周回して先へ進めるコースもあるので、「ここが頂上!登頂したぞ!!」という、てっぺん感はあまりありませんでした。山頂というより、浅間山を眺める特等席、という感じでしょうか。
帰りは、膝が笑いました
そして——帰り道、私の足はガクガク。いわゆる「膝が笑う」というやつです。下りは、登りとは違う筋肉を使うんですね。一歩ごとに膝にきて、最後のほうはよたよた。
やっぱり初心者、もっと訓練が必要だと痛感しました。下りで膝に来ないように、日ごろから少しずつ脚を鍛えておかないと。登山は「登り」より「下り」が本番なのかもしれません。
🩺 検査技師のひとりごと:膝が笑うのは、太ももの筋肉(大腿四頭筋)が疲れて、関節を支えきれなくなったサイン。無理せず休み休み、ストックを使うとずいぶんラクになります。
活火山であることを、忘れずに
最後に、いちばん大事なこと。
浅間山は、噴火警戒レベルが「1」に下げられたこともあって、これから人気が出そうな山です。私たちが行ったときも、気持ちよく歩けました。
でも、浅間山は今も活動している活火山だということは、忘れないでください。火山の状況は変わります。レベルが上がれば、立ち入りが規制される範囲も変わります。登る前には、
- 気象庁の噴火警戒レベル(最新の状況)
- 現地・登山口の通行止めや規制の表示
を必ず確認してから出かけてくださいね。装備と登山届、そして最新情報。この3つは、楽しい山歩きの「お守り」です。
それでも、黒斑山は本当にいい山でした。標高の高いところから歩き始められて、希少なコマクサに会えて、浅間山を特等席から眺められる。初心者の私でも、膝を笑わせながら、登ってよかったと思えた一日でした。
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