2026年4月
旅行火打山に登ってきた|50代登山初心者が、山頂を諦めた日のこと
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※コースタイムや施設情報は2026年6月時点のものです。最新情報は公式・現地の表示をご確認ください。
去年の夏、新潟の火打山(2,462m)に登ってきました。
先に正直に言っておきます。私、山頂までは行っていません。天気を見て、途中で引き返しました。それでも——いえ、だからこそ書いておきたいことがあるんです。これは、登山初心者の50代が火打山と向き合った、ありのままの記録です。
なぜ、火打山だったのか
私は登山初心者です。だから今回は、山の本を2冊読み込んで、装備も準備も万全にして臨みました。
そして、ひとりでは行きませんでした。友人と一緒です。
50代になって思うのは、「何があるか分からない」という不安が、若い頃より確実に大きくなっていること。体調が急に変わるかもしれない。そして近年いちばん怖いのが——熊です。一人で山に入る勇気は、正直まだ持てません。信頼できる友人と一緒だからこそ、踏み出せた一歩でした。
幸い、火打山は妙高戸隠連山国立公園の中にあって、登山道がよく整備されています。道に迷うような場所はなく、初心者でも「ルートが分からなくて不安」ということはありませんでした。そこは本当にありがたかった。
十二曲がり——ここが一番きつかった
コースで一番こたえたのは、黒沢橋を渡った先の十二曲がり。
名前のとおり、急な斜面をジグザグに折り返しながら登っていく区間です。一歩一歩は進んでいるはずなのに、なかなか高度が上がる実感がわかない。「まだ続くの……」と心の中でつぶやきながら、足を運びました。
途中、黒沢橋の上から見下ろすと、澄んだ沢が勢いよく流れていました。ひんやりした水音に、ほんの少しだけ元気をもらって。
そして、つらいのはここを登り切ってからでした。その先が、とにかく長い。急登を越えれば楽になると思っていたのに、富士見平を過ぎてもまだまだ道は続く。「火打山は遠い山だ」と、体で思い知りました。
裸足の男性、現る
そんなヘトヘトの登山道で、忘れられない出会いがありました。
向こうから歩いてきた外国人の男性が、すれ違いざまに「こんにちはー」と、それはもう軽やかに。私は思わず二度見、三度見しました。だって彼、裸足だったんです。タンクトップに短パン、しかも薄手の。
がっつり登山装備で、本まで読み込んできた私たちの横を、彼はまるで散歩のように通り過ぎていきました。「え?え?」と何度も振り返ってしまった。世界は広い。山には、いろんな人がいる。あの光景は、今でも友人との語り草です。
高谷池ヒュッテで、プリンとお茶
なんとか高谷池ヒュッテにたどり着きました。三角屋根がぬっと見えたときの、あの「やっと着いた」という安心感といったら。
ここで楽しみにしていたのが、名物のプリン。山小屋でいただくプリンとお茶の、なんとおいしかったこと。疲れた体に染み渡って、ここまで歩いてきたごほうびそのものでした。
入り口で出迎えてくれたのは、オコジョがプリンを抱えた「ひゅってとぷりん」の看板。これがもう、たまらなく可愛いんです。
高谷池のあたりまで来ると、湿原の景色がひらけて、本当に美しい。ここまで来られただけで十分だ——そう思える場所でした。
山頂を諦めた判断
ヒュッテを過ぎ、池のあたりまで進んだころ。空模様が怪しくなってきました。
ここで、帰りの時間を逆算しました。私たちは朝5時半に登り始めています。これから山頂を往復して、あの長い道を下って……天気が崩れたら? 暗くなったら? 初心者の私たちには、リスクが大きすぎる。
山頂は、諦めました。
悔しくなかったと言えば嘘になります。でも、山の鉄則は「無事に帰ること」。引き返す勇気も、立派な登山の一部だと、本で読んでいました。それを実践できたことを、今はむしろ誇りに思っています。
山の天気は、本当に変わりやすい
面白いもので、無事に下山して15時に駐車場に戻ったころには、空はすっかり晴れていました。
「山の天気は変わりやすい」——言葉では知っていましたが、あの怪しい雲行きと、下山後の青空の両方を体験して、心の底から実感しました。あのとき引き返した判断は、間違っていなかった。晴れた空を見上げながら、そう思いました。
初心者が火打山に行くなら(私の実感)
| ポイント | 実感 |
|---|---|
| 難易度 | 日帰りはロング。初心者は山頂にこだわらず、高谷池まででも十分楽しめる |
| 一番きつい所 | 十二曲がりの急登と、その先の長い道 |
| 道 | 国立公園で整備されていて、迷う心配は少ない |
| 安全 | 熊対策・天気の急変に注意。早出早着、引き返す勇気を |
| お楽しみ | 高谷池ヒュッテのプリン |
山頂に立てなくても、山はちゃんと、たくさんのものをくれました。十二曲がりのきつさも、裸足の彼も、プリンの甘さも、引き返す判断も、下山後の青空も。全部ひっくるめて、忘れられない一日です。
次は——いつか、晴れた日に、あの山頂まで。それまで体力をなくさないように、歩き続けようと思います。
持っていった装備(初心者なりに、本を参考に)
登山初心者の私は、とにかく本に書いてあるとおりに準備しました。最後に、実際に持っていったものを少しだけ。これから登る初心者さんの参考になれば。
読み込んだのは、この2冊です。
『新しい登山の教科書』と、『山と高原地図GUIDE アルプストレッキング』。何を持っていくか、どう歩くか、そして「引き返す判断」まで、登山のいろはは全部この2冊に教わりました。
登山靴(キャラバン)に、レインウェア(ゴアテックスのカッパ)、そして薄手のダウン。本に「山の天気は変わる。雨具と防寒は必ず」と何度も念を押されていたので、ここはケチりませんでした。結果、あの空が怪しくなったとき、この備えが本当に心強かったんです。本の言うことは聞くものですね。
ザック(ミレー)には、熊よけの鈴を付けて。一人では山に入る勇気が出ない私が、それでも一番気にしていたのが熊でした。チリンチリンと鳴る鈴の音は、お守りみたいなもの。あるとないとでは、心の余裕がぜんぜん違いました。
⛰️ 今回使った登山グッズ(楽天で見られます。私のは色違い・旧モデルのこともあります)