2026年6月
旅行牛に惹かれて善光寺、ひとりでモンブランと格闘した日|おひとりさまの日帰り旅

「牛に引かれて善光寺参り」ということわざがありますよね。思いがけない縁に導かれて、いつのまにか良い方へ——という、あれ。
私の場合はもう少し俗で、牛じゃなくて「モンブラン」に惹かれて善光寺まで来てしまいました。長野駅から善光寺まで、歩いて30分ほど。バスもあるけど、私はこの門前町をてくてく歩くのが好きなんです。古い建物を眺めて、お土産屋さんを冷やかして、だんだん山門が近づいてくるあのワクワク。今日もいい天気で、参道はきらきらしていました。
……ここまでは、よかったんです。
宿坊でスイーツ体験。のはずが、まさかの貸切
今回のいちばんの目当ては、善光寺の宿坊「薬王院(やくおういん)」の体験。その名も「お箸でつくるモンブラン 甘露の法雨(かんろのほうう)」です。

お寺いわく、この体験は「盛り付けに集中して無心になり、心がととのう」「セロトニンが出て幸せな気持ちに」なるのだそう。なるほど、写経や坐禅のスイーツ版ですね。素敵じゃないですか。私も心、ととのえたかった。
通されたのは、坐禅もできるという立派な和室。掛け軸がかかって、抹茶のセットと、見慣れない金属の絞り器が用意されています。「わ、本格的」とテンションが上がったのも束の間——
配膳が済んだら、スタッフさんがすうっといなくなりました。
広い和室に、私ひとり。貸切です。貸切って聞くと贅沢な響きですけど、シーンと静まり返った大広間にポツンと一人、というのは、なかなかどうして心細い。

ひとり、ブサイクなモンブランと格闘する
気を取り直して、いざモンブラン作り。土台のりんごのタルトタタンにアイスをのせて、絞り器にマロンクリームを詰めて、ニュルニュルと上から絞り出していきます。テーブルには「モンブランは繊細です。上にたくさん乗せると崩れやすい」と親切な注意書き。
見本の写真は、それはもう美しい栗色の山。なのに私のは——麺が暴れたみたいな、なんともブサイクな造形に仕上がりました。崩れる、崩れる。「あれ、こんなはずじゃ」「いや、これはこれで味があるってことで」。気づけば、誰もいない部屋で独り言を言いながら、クリームと格闘している50代の私。
正直に言います。こういう時、誰かいてほしい。「見て見て、ひどい出来!」って笑い合える誰かがいたら、このブサイクさも一気に楽しいイベントになるんですよね。ひとりだと、ただただ黙々と、栗色の麺を盛り続けるだけ。

味は、ちゃんと美味しかったです。栗の風味も、自分で点てた抹茶のほろ苦さも、黒豆や白玉の取り合わせも上品で。検査技師の私としては「糖質が……」と一瞬よぎりましたが、まあそういう数字は今日は見なかったことにします。
ただ、「心ととのう」どころか、薄暗くて静かなお部屋にいたたまれなくなって、早々に退出。出るときに「ごちそうさまでした」と声をかけたものの、人の姿は見当たらず。私の声は、そのまま静かなお寺に吸い込まれていきました。……うん、これはこれで、忘れられない体験です。
ここはひとりが似合う。善光寺でお参り
気を取り直して、本堂へ。
さすが善光寺、堂々たる佇まいです。お線香の煙、ずらりと並んだ灯籠、荘厳な空気。さっきの和室では一人がこたえたのに、不思議とこういう場所では、ひとりがしっくりくる。誰に気兼ねすることもなく、自分のペースで手を合わせられる。これはおひとりさまの特権だなと思います。

お土産はアルクマくん
善光寺の大勧進(だいかんじん)で、長野県の公式PRキャラ「アルクマ」のだるまをお迎え。これがもう、たまらなく可愛いんですよ。赤と緑の体に、とぼけた表情。連れて帰らずにはいられませんでした。ひとり旅のお土産は、たいてい自分のためのこういう小さい子です。

ランチ難民、からのまさかのベトナム
本当はね、門前の「フジや御本陣」あたりで、ちゃんとしたランチをいただきたかったんです。風情のある建物で、優雅に。
でも——さっきの薬王院でのひとりぼっち体験が、地味にトラウマになっていまして。ひとりで暖簾をくぐる勇気が、どうしても出ない。 「また広い席にポツンだったら……」と想像したら、足がすくんでしまいました。
結局、「平五郎」でレモンケーキとコーヒーをテイクアウト。これは安定の美味しさで、心が少し落ち着きました。
そして長野駅へ戻り——なぜか駅の近くの「MOC PHO(モックフォー)」で、バインミーを食べて帰るという。信州まで来て、シメがベトナム。自分でも「どうしてこうなった」と思いつつ、このバインミーがまた美味しくて。パンはパリッと、お肉と香味野菜がたっぷり。揚げ春巻きも添えて。

不思議なもので、この予定外のバインミーで、その日の調子っぱずれが全部ちょっと許せた気がしたんですよね。
おわりに——調子の出ない日も、悪くない
正直、おひとりさま、ちょっと調子の出ない1日でした。
心ととのうはずが整わず、ランチも逃して、シメはなぜかベトナム。でも、こうして書いてみると、ぜんぶ笑える。ブサイクなモンブランも、誰もいない部屋への「ごちそうさま」も、勇気が出なくて買って帰ったレモンケーキも、全部ちゃんと「私の一日」でした。
おひとりさまの旅は、自由と心細さが、いつも背中合わせ。それでも私はまた、ひとりで電車に乗って、どこかへ出かけると思います。次は——ちゃんと誰かと笑える日も、たまにはいいかな。なんてね。
おひとりさま日帰り旅、かかったお金
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 薬王院「お箸でつくるモンブラン」体験 | 1,650円※じゃらんnetのクーポン利用後 |
| 平五郎(レモンケーキ・コーヒー) | 2,350円 |
| MOC PHO(バインミー) | 1,200円 |
| アルクマのだるま(かわいい😍) | 1,300円 |
| 合計(交通費除く) | 6,500円 |
ちなみに、モンブラン体験の 1,650円 は じゃらんnetのクーポンを使って予約したお値段です。じゃらんは旅行や宿の予約だけでなく、こういう「現地の体験プラン」も予約できて、配布されているクーポンを使うと通常より安くなることがあるんです。今回も予約サイト経由でひと手間かけたぶん、ちょっとお得に楽しめました。
ひとりだと、こういう「自分の好きなものだけにお金を使う」贅沢ができるのも、いいところです。
立ち寄りスポット情報
信州善光寺 薬王院(やくおういん)
- 善光寺建立時に阿弥陀堂として最初に建てられた、由緒ある宿坊
- 体験「お箸でつくるモンブラン 甘露の法雨」:所要時間約30分/1〜10人
- 集合場所:長野県長野市元善町657(善光寺本堂まで徒歩約3分)
- ※体験の料金・受付時間は変わることがあります。お出かけ前に薬王院の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
アクセス
- JR長野駅から善光寺まで徒歩約30分(門前町を歩くのがおすすめ。バスもあり)